マインド

RASを知って目標を実現する

前回は、思考したことを現実のものとして引き寄せるには、目標設定が大事だというお話をしました。
今回は、何故そう言えるのかというところを人間の脳の仕組みを紐解くことで説明したいと思います。
何故そうなるのかを知らずに実践するより、ちゃんと理解し、納得した上で実践した方が、信じる力も加わり、効果は現れやすいですからね。

多少難しいところもあるかもしれませんが、何となくイメージを掴んでもらえたらOKです^ ^

RASとは何か?

手や足の感覚や、
目で見たり耳で聞いたり
といった感覚器官からの刺激は、脳に伝えられ処理されることで、人は認識できるようになります。

また、何か行動を起こそうと頭で思考した時、脳からの指示が体の各部位に伝えられることで、思った通りの行動を起こすことができるようになります。

体から脳へ、脳から体へと、日々、その情報量は膨大なものとなります。

そのほとんどの情報の橋渡しをするのが、脳幹にある網様体といわれる神経の集まりです。

この神経の集まりは、人の生命活動の維持であったり、意識をコントロールする役割を担っていて、その役割を実現する仕組みをRAS(網様体賦活系)と言います。

物理的にRASがどのようにその機能を実現しているのか、

脳内のシナプスがどうでこうでうんたらかんたら・・・・

といった専門的な話は脳科学の専門家に任せるとして^^;

ここでは科学で証明されているということを根拠に、知っておいて人生に役立つレベルのRASの機能やその特徴についてシェアしたいと思います。

RASは優秀な秘書?

RASは受け取った情報を、ただ右から左へ横流ししているだけではありません。

あなたの好きな情報や慣れ親しんだ情報など、あなたにとって、重要度の高い情報だけを拾い上げ顕在意識にあげるというフィルタのような機能を果たしています。

特定の車が街に増えたように感じるのはRASのせい

僕は車にはあまり関心がなく、結婚してからしばらくは、車を持たない生活をしていました。

車を持つとなると車両代はもとより、維持費がめちゃくちゃかかります。
ガソリン代や駐車場代、高速代、車検代、税金など、
また、たいていは保険にはいると思うので、保険料も掛かります。

そうまでして車を保有するメリットが感じられなかったし、そもそも運転があまり好きではなかったので、出かける時はいつもタクシーを利用してました。
ちょっと遠出をするときはレンタカーを借りるなど。
実際、その方が、車を持つよりはるかにコスパがよいので。

しかし、子供ができるとさすがにそれでは不便という事で、車を購入することになりました。
維持費が比較的安く済む軽自動車で、中が広めの車種をということで、ダイハツのTANTOを購入することにしました。

僕がTANTOを購入してからというもの、不思議なことに街を見ると、そこら中でTANTOが走っているのを目にするようになりました。

あっちを見ても、こっちを見てもTANTOばかり走ってます。

僕がTANTOを購入してから一気に人気が爆発したのかー?と思うくらい・・・

ですが、そういうわけではありません。

これがRASの仕業なんですね。

TANTOはもともと人気機種ではあったようですが、僕が購入してから一気に人気が爆発したというようなことはありません。

僕はもともと車に関心がなく、街に走ってる車の車種なんて見てなかった、

いや、目には入っていたはずですが、僕にとって、車の重要度が高くなかったので、RASが、僕の意識に情報をあげていなかったという事なんですね。

それがTANTOを購入する事で、僕の中でTANTOの重要度が上がり、RASが意識にあげるようになったので、街にTANTOが増えたように感じたという事なんです。

水を飲めるのもRASのおかげ

また、感覚器官から拾い上げた膨大な情報もRASは、フィルタをかけています。

感覚器官から送られてくる情報の全てを意識的に判断していたら、到底処理しきれません。

あなたは、目の前にあるコップの中の水を飲みたいと思ったとします。

その為には、まず、腕の筋肉を伸ばして手をコップの近くまで持っていく

次にコップを手で掴み、逆に今度は腕の筋肉を縮めて、コップを口元に持って行く

口元で程よい角度でコップを傾けて、水を口の中に流し込む

唇が「熱い!」と感じた

急いでコップを口元から遠ざけるよう指示を出して、、、

なんてこと、いちいちやってられませんよね。。

「そんな事は、顕在意識様のお手を煩わすまでもありません。」

と言わんばかりに、RASは顕在意識に情報を上げるのではなく、潜在意識に処理させて、こういった作業は、無意識のうちになされるようになっているのです。

あなたは、ただ水を飲みたいと意識するだけで、無意識のうちに体が動き、難無く水が飲めるわけです。

とても頼りになる優秀な秘書のような存在ですね。

RASは脳内の顕在意識と潜在意識の間の情報のやり取りもコントロールしている

外からの何らかの刺激に対して、顕在意識では、どう対処するかを考え指示を出し反応します。

この「何らかの刺激」が何度も何度も繰りされたとき、顕在意識は、同じ反応を何度も何度も繰り返すことになります。

同じことを何度も何度も繰り返された時、あなたはどう思いますか?

「もういい加減、このときは、こうなんだけどー!」

と言いたくなりますよね?

顕在意識がそのように思い始めるころ、RASは

「この刺激に関しては、今後、顕在意識様のお手を煩わすことはありません。」

と言わんばかりに、潜在意識に処理させて、無意識にのうちにできるよう働きます。

RASは、繰り返される刺激と反応を逐一潜在意識に記録し、潜在意識で処理する準備を進めていたというわけです。

なんとも超頼りになる秘書ですねw

この潜在意識で処理できるようになるという現象が、習得であったり、クセであったり、習慣であったりするわけです。

スポーツやゲームなど、やればやるほど上手くやれるようになりますよね?

やったらやっただけ、RASは潜在意識にデータを蓄積し、その精度を高めてくれているのです。

RASが潜在意識に記憶し無意識のうちに処理する対象は、運動や感覚だけではありません

あなたが何に喜び、
何を恐れ、
何に不安を感じ、
何が楽しいのか
といった感情、

また、どういうときにどういう思考をするのかといった思考パターンや、

あなたの意識

実は、こういった領域に至るまで、ほぼRASのコントロール下だと言われています。

例えば、

あなたの今日一日の行動を振り返ってみてください。

そして、昨日の行動を振り返ってみてください。

さらに、その前の日の行動・・・

同じような行動を繰り返していませんか?

朝起きて、まず最初にすること
通勤・通学の通り道
お風呂に入って最初に洗う場所
腕を組む時、左が上?右が上?

「私は、違う毎日をおくってます!」と言える人は、ほとんどいないと思います。

このような行動は、あなたが意識してやれば、当然変えられます。
しかし、ほとんどの場合、あえて意識することはしないし、毎度、同じ選択を繰り返しているはずです。

あなたの思考や価値観、性格や個性は、あなたの過去の記憶を元にした一定の思考、行動パターンといえます。

・・・ということは、これらを形作っている大部分は、RASだということになってくるわけですね。

あなたが自分の意志で決めたと思ってること、それはほんとうですか?・・・
実は、RASに決めさせらているのかもしれません。

ちょっと怖くなってきませんか?^^;

そうなってくると、まさに、私は誰?

と言いたくなってしまいますが、、、
そこに入っていくと哲学の領域に入ってっちゃうので、また、次の機会ということで。

RASの主(あるじ)

「こんな同じような毎日はイヤだ!」

「今日から俺は!」

「ヤンキーになる!!」

と、あなたはふと思い立ったとします。
(ってドラマ、最近やってましたね^ ^)

今すぐ、あなたは、金髪頭、もしくはトゲトゲ頭にできますか?

できる!と思った人は、あなたのRASにそういう価値観がそもそもあったのでしょう。

普通は、周りの反応が怖くてできません。

これは、変わることは危険なこと、
現状維持がベストというRASの基本的な特徴で、心理学的用語では、ホメオスタシスと言います。

あなたの意思は、変わろうとしたのに、RASは協力してくれない。。

なぜでしょう?・・・あなたの優秀な秘書なはずなのに。。。

それは、実は、RASの主は、顕在意識ではなく、潜在意識だからなのです。

これはちょっと、裏切られた気分になっちゃいますね^^;

よく歴史ドラマなんかであるあの構図。

王様(顕在意識)と陰の実力者(潜在意識)がいて、

影の実力者が自分の息のかかった優秀な部下(RAS)に王様に仕えさせて、

王様の元に集まる情報をコントロールして、自分の権力を維持する

みたいな・・

あっ、僕はよく歴史ドラマとか見るんですが、見ない方はピンとこないかも。。

RASの正体

RASの主は、潜在意識と言った意図は、

RASは、潜在意識に蓄積された過去の記憶を元に情報をコントロールするよう設計されたプログラムのようなものだからです。

プログラムとは、ある値をインプットとして与えると、一定の解を返す仕組みのことです。

”A”という値をインプットに、プログラムを実行すると”B”という値が返ってくるといった感じですね。

そして、このプログラムは各個人の潜在意識の過去の記憶を元に設計されるため、
同じインプットを与えても、人によって過去の記憶が異なるため、返す値は異なります。

しかし、同じ人に同じ値をインプットとして与えると、同じ反応を返すのです。

このプログラムは、人にとって良くも悪くも働きます。

人類の長い歴史において、生き残ることは至上命題だったわけですが、

生き残るには、経験したことのないことにチャレンジしてリスクを冒すより、

過去に安全を確認できた行動を繰り返すほうが生存確率は高まります。

そういう意味では、RASは良く働いていたと言えます。

しかし、一方で、人が発展、成長するためには、チャレンジして変化を遂げる必要があります。
そうした場合に、RASは障害、乗り越えるべき壁ともなるわけです。

人が成長するにはRASの書き換えが必要

今が幸せだから、現状維持したい

だから、RASの書き換えは不要・・・

とはなりません。

なぜなら、あなたは変わらなくとも、世の中は刻一刻と変わり続けるからです。

環境の変化に適用し常に成長し続けるというのが、人の宿命であり、現状維持などというのは幻想でしかないと言うことです。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。
唯一生き残るのは、変化できる者である

- チャールズ・ダーウィン -

なので、願望を実現し幸せでいたいと思うなら、RASを書き換え、常に成長し続ける必要があるということです。

では、RASを書き換えるとはどういうことなのでしょうか?

RASは変えようと意識しても簡単に変えることはできません。

なんせ、RASの主は顕在意識ではなく、潜在意識なのですから。

RASは、潜在意識の記憶を元に作られているという話をしました。

よって、RASを書き替えるには、潜在意識を変えて間接的に書き換えるという手順が必要になります。

潜在意識を変える

潜在意識を変えるには、まず、どう変えるのか、自分の望む理想の姿を具体的にイメージし、
それが実現した時の状況や、そのときに沸き起こる感情をリアルに想像する
ことです。

そして、それを何度も何度も繰り返し、脳に刷り込ませていく。

目標を紙に書いて、目のつくところに貼っておきましょう!

と、よく言われますが、これは、脳に刷り込ませるという意味でとても有効だと思います。

そうすると、だんだん、自分の意識が理想の未来の側にシフトしていって、自分はそれを実現できると信じれるようになり、やがて、確信にかわるということなんですね。

思考は現実化するのか?
で願望を実現する方法というのを書きました。

自分が何を望むのか願望を明確にする
それを実現できると確信を得るほどに、自分を信じぬく

です。

要は、

正しく願望を設定し、信念を持ち続けることで、潜在意識が変わる。

潜在意識が変わることで、RASが変わる。

RASが変われば、顕在意識に上がる情報が変わり、その人の思考、言動、行動が変わる。

思考、言動、行動が変わると、それが習慣となり、あなたの価値観や常識が変わる。

価値観や常識が変われば、世界が変わる。(あなたが世界を見る視点が変わる。)

結果、世の中のすべてが目標達成に向けて動き出し、願望を実現できる。

というメカニズムなんです。

そして、このメカニズム、
こちらの有名な名言にも通じるものがありますね。
やはり、昔から語り継がれる名言や格言には、この世の真理を語ってるなーと感じるものが多いです。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

ちなみに、この名言、マザーテレサの言葉だと思ってたのですが、実は違ったようです。誰が発した言葉なのか、諸説あって、作者不明なのだそうです。

RASの特徴

RASの仕組みがわかったところで、

では、効果的な目標を設定しましょう!

と言いたいところですが、その前に。

このRASには、変なクセというか、、

ちょっとひねくれてるんじゃない!

と思うような特徴がありますので、

最後に、この辺りも押さえて頂けたらと思います。

RASが重要か重要でないかを判断する基準は、フォーカスが向けられたかどうかのみ

事象の善悪やポジティブ、ネガティブといったことは一切関係ありません。
よって、人にとって悪だと思われていることや、ネガティブな思考にフォーカスを当てていれば、そういった現実を引き寄せることになってしまいます。

引き寄せの法則とは、よいことだけを引き寄せる法則ではないのですね。

誰も悪いことを起こしたいとか、ネガティブな思考をしようとは思わないはずですが、意図せず、そういった方向にフォーカスを当ててしまっているということはよくある事なので、注意が必要です。

RASはイメージを現実化しようと働く

否定表現による目標設定は逆効果を生むので、注意してください。

不幸にならない!
貧乏にならない!
病気にならない!
など

RASは言語ではなく、イメージを現実化しようと働くので、このような否定表現をイメージすることはできません。
不幸ではない自分とは、どんな状態か具体的にイメージすることが難しいですよね。
むしろ、不幸、貧乏、病気というイメージの方にフォーカスがあたってしまうので、こういった目標設定は避けましょう。

願望は願望の表現で表してはいけない

このあたりが、また、ややこしいところですが、、、
願望と言えば、通常、

幸せになりたい!
お金持ちになりたい!
健康になりたい!

といった表現になると思いますが、RASはこういった表現だとうまく働いてくれません。

こういった表現は、

幸せになりたい! ⇒ 今は幸せではない
お金持ちになりたい! ⇒ 今はお金持ちではない
健康になりたい! ⇒今は健康ではない

とRASは解釈します。

RASは、あなたの潜在意識にある本心に従って動きます。

RASは、あくまで現状維持装置なので、現状が理想の未来であるかのようにリアリティを持たせて認識する必要があるということなのです。

RASの仕組みと特徴がわかれば、あとは実践するのみ

ですが、

具体的に、

願望はどのように設定すればいいのか?

願望は実現できると信じるなんで無理!

と思われる方も多いと思います。

願望が叶ったわけでもないのに、それが実現したかのようにリアリティを持たせて認識するって・・・
無理でしょ。。

となりますよね。

このあたりの手法については、色々あるので、最終的には、自分に合うやり方を模索していくのがよいと思うのですが、

RASの仕組みと特徴を踏まえて、こうすればより効果的じゃないかなと思う、僕なりの考えを次回以降またシェアしたいと思います。